2024年のGWが終わりました。
宿屋伊勢ピットとしては、今年は2019年以来大忙しのGWでした。
まずはお越しいただいたゲストさん、並びに期間中ほぼ集客を担ってくれた楽天トラベル社に感謝申し上げます。
しかしながら、伊勢志摩エリアの状況や報道で全国各観光地の様子を見て思ったのですが・・・
GWってそもそも必要??
っと思ってしまいました。
あくまで僕個人の主観であり、また旅行や観光の面からのみですが「GWいらなくない??」が今の僕思いです。
今回はなぜGWが必要ないと思うか書いていきます。
ホテルなど観光客を迎える側の視点
まず観光客を迎える側(僕もこちら側)の視点です。
観光業界の4.5.6月って基本的には閑散期になります(一部地域は除き)
その閑散期のあまり多くない需要を短期間だけに集中させ価格を上げちゃう、若干ドーピング的なのがGW。
これだけでみると特も損もないような気がしますが、短期間に需要を集中させることで人件費や食材費などの経費が削減できるのです。
特にホテルの人件費は顕著で、3ヶ月間暇なのにフルタイムで人を雇うのと、すごく忙しい一週間だけ人を雇うのでは人件費が大きく違う。
ホテルや観光地の経営者視点で言うとGWはまさに掻き入れどきだったのです。
しかし、コロナ終了&円安で海外からの旅行者が爆増しつつある2024年は、4.5.6月といえ閑散期ではありません。
海外ゲストの対応で普通に忙しいのに、GW期間はさらに日本人旅行者が増え現場はパンクしてしまいます。
特に昨今は人手不足。ホテル勤めの友人も今年のGWはこれまでのホテル勤務人生で一番忙しかったと言っていました。
まとめると、これからは旅行客を迎える側は特需よりも需要をフラット化させる方が重要。
需要をフラット化できれば、安定した条件で人員を雇えて人手不足解消にもなる。
観光客側の視点
日本の会社はカレンダーの休日以外でまとまったお休みをとるのがいまだに難しいらしい・・・。
(僕自身は自営業者になり6年経過し、一般的な会社員の休暇取得状況は正確にはわかりませんのでご了承)
なので一週間くらいのまとまった休みが取れる数少ないチャンスがGWのようです。
確かに海外旅行とか3日くらいの休みでは時間的に厳しいですもんね。
仕事柄、海外の方とお会いして話す機会がありますが、向こうの方(特にヨーロッパ圏)の働き方は驚くほどゆとりがあります。
文化を変えるのは難しいですが、日本も人手不足ですし少しずつゆとりを持った勤務体系になっていけば良いのですが・・・。
今年の伊勢のGWをみると日中の市内は渋滞、伊勢神宮周辺は満員電車のような人混み・・・。
夕食などは事前に予約していないと、どこも入れないような状況でした。
いわゆる「オーバーツーリズム」ってやつです。
僕自身が人混みが苦手なので、こんな状況では楽しめないと感じてしまうけれど気にならない人は大丈夫なのかな??
いずれにしても、ゆったりと旅行できる方が状況としては良いと思います。
それと、周辺の宿価格が異常に高騰していました。
海外ゲストに向けた価格設定にさらにGW特需が乗り、見たことがないような価格になっていました。
せっかく長いお休みも、予算的な問題で予定よりも短い期間しか泊まれなかった人も結構いたのではないかなぁ。
まとめると、カレンダーの休日以外でも休暇の取得しやすい社会に。
特需に乗っかると激混み&価格高騰する。少しでもそこを避けるように行動すると◎
集中ではなく分散の方が嬉しくない?
少し前のデータですが、日本人が年間で旅行をする回数って2.5回らしいです。
(ここでは小数点を除きざっと3回とします)
年末年始&夏休みの2回は理解できる(お子さんとかいると特に)
我が家もこの時期は旅行に出かけていましたしね。
では残りの1回。ここをGWにしてしまうと年3回の旅行全てが集中期になってしまうのですよね・・。
せめて1回は分散しません?
ここからは僕の理想論ですが、GWの祝日4日を4.5.6月に分散させる(3連休×4回または3連休×2回+4連休×1回みたいに)
そうすれば国内旅行需要は少し分散するし、4連休なら+1日有給みたいにすれば海外旅行だって時間的にも問題ない。
ホテルなど迎える側も、これまでは特需期間だけ派遣やバイトを臨時で雇い、閑散期はレギュラーメンバーだけで営業するみたいにしていたところが多いけど、昨今の人手不足でそのスタイルそろそろキツくなるよ。
そうすると価格の割にクオリティーが追いつかなくなり、国内旅行者はもちろん今は円安が追い風で海外ゲストが爆増しているけど、他に魅力的な国などがあればそちらに流れて行ってしまう。
なんかGWって今の時代にそぐわない(そもそも日本にしかないし)、そんな期間だなぁっと思ってしまいました。
2020年のコロナ元年、旅行需要がなくなり観光業界が大ダメージを負った際に星野リゾート代表の星野佳路氏が言っていました。
「観光業界最大のピンチだが、旅行需要を平準化するには最大のチャンス」
つい1年ちょっと前までは、できるだけ密にならないよーにってやってたじゃん!
平準化は定着しなかったですね・・・残念です。
いろいろと書いてきましたが、僕自身もGWは必要ない(分散化へ)と思っていますし、伊勢ピットのゲストさんにアンケートを行ったところ80%は集中より分散に賛成との回答をいただきました。
何かのきっかけでGWの祝日設定が分散されれば嬉しいなと思いつつ、この記事を終わりとします。
なお今回のGWを終えて、このままの相場感が続けば宿屋伊勢ピットもついに(個人的には嫌いな)需要に合わせて価格を変動していく「ダイナミックプライシング」を導入せざるを得ないなぁと思いましたが、それはまた別の機会にて説明いたします。